やってるゲームとかの雑記
最近ちょこちょこ見たり話題にしてる『マイリトルポニー』シリーズの現在製作・放送されている最新世代
『マイリトルポニー~友達は魔法~』シリーズなんですが、この作品、本来の
想定視聴者層である子供たちだけでなく大人をもひきつけている事で非常に有名です。
なぜ大人がこの作品を見ても面白いのかというと、キャラクターたちの絵描かれかたとともに
作中の舞台である「エクエストリア」の成り立ちをはじめとした世界観の設定が
非常によく練られたファンタジーであり、SFでもあるという点にあると思います。



・エクエストリアに伝わる「伝説」と「現存する神」
マイリトルポニーの1話冒頭で描かれるエクエストリアに伝わる伝説の話。
エクエストリアには太陽を運行するセレスティアと月を運行するルナという姉妹が居て、
月を運行するプリンセスルナが夜間は地上に居るポニーたちが寝てしまって退屈な事に不満を持ち、
ナイトメアムーンという存在になって反旗を翻した結果姉は「エレメントオブハーモニー」の力を使って
妹を月に1000年間封印したという事が語られます。

日本人には結構わかりやすい世界観で、天照と月詠の関係であると言ってしまえば早いでしょうか。
冒頭のイラストで示されている図もなんか陰陽図ちっくな構図で書かれています。

ところが、大きく違う点がひとつあります。
セレスティアは現在でも普通に生きており、伝説のセクションで語られるセレスティアとほぼ同じ姿をしています。
つまりこの世界では神話上の存在が生きているどころか、普通に主人公である
トワイライトスパークルと話すこともあり、更に魔法や教訓を教える事があるのです。
現在のセレスティアは「プリンセス」と呼ばれており、「太陽を運行する」という
具体的な霊威により誰もが彼女の事をプリンセスだと認めています。
例えて言えば「若々しい女性の姿の天照が天皇を務めている」ぐらいの感じですね。

さてここまできて「何がSFなんだよ」という感想を抱くかもしれないんですが、
『マイリトルポニー』の作内では魔法は「不思議な、謎のエネルギー」ではなく
ほぼ科学技術に近いような描写をなされているシーンが存在するのです。
強大な魔法は使いこなすのが難しいという条件が付いているものの、魔法の動作原理を本から
学ぶことで使うことができる以外にも、機械の動作エネルギーとして使う事ができるのです。
作中には様々な「魔法を動力とする」装置が登場しており、主人公トワイライトも
魔法を学ぶ身でありながら魔女ゼコラの呪いを怖がる友達たちに「非科学的」というなどしています。
これは一見矛盾している事にも思えますが、簡単な事でこの世界では魔法=科学と似たようなものなのです。
トワイライト自身も我々の世界に存在するものと見た目が近い「装置」を作って物事を解決したり
解析を試みることがあります。
つまり魔法=電気や化石燃料等のエネルギー源でもある・・・という感じですね。

・ポニーたちの自治に任された世界「ポニービル」
エクエストリアの首都キャンタロットでは物事(天気の移り変わりなど)は全て魔法で自動で移り変わるそうです。
一方で、メインで描かれる田舎町ポニービルでは
・植物を育てる(作物を育てて収穫する)
・天候を変更する(雲を操作して雨を降らせたり逆に晴れにする)
・動物たちの生活サイクルを管理する
などの作業は全て彼らが勝手にやるのではなく、ポニーたちが行う事で運行されています。
(つまり、逆に魔法で全て運行しているキャンタロットは高度に科学によるシステム化が行われています)

ポニービルのポニーたちにとってはこうした作業に従事することが生業であり、
それぞれの得意な作業に応じたキューティマークと呼ばれるマークがそれぞれの身体についています。
このキューティマークは得意な事を見つけた時に浮き出てくる不思議なマークである・・・とされていますが、
実際にはその後の生業に大いに影響するものであるということが出来ます。
というのは、作物のマークがついたポニーはたいていの場合その作物を育てる作業に従事しているなど、
「最も得意な事」はポニーたちの社会でもそのポニーの立場を表すマークとして機能しています。
やや乱暴な言い方ですが、職業を示す刺青のように機能している面があり、
「生まれてくる全ての人間が成人になることには適正職業のマークが浮き出る」と考えると
ものすごくサイバーパンクな世界観であるようにも思えませんか?思えますよね!(強制)

また、こうした「ポニーたちによる管理者会」が当たり前のように考えられているため
ポニーたちは「管理されていない」場所で植物が勝手に成長したり好き放題増えること、
雲が勝手に動くこと、見たこともない動物などを恐れているという描写があります。
これもなかなかおもしろい世界観で、ポニーたちが管理するのが当たり前であるからこそ
管理されていない無法地帯は足を踏み入れるのが危険な禁足地として恐れられている・・・というわけです。
日本語では「帰らずの森」と平たい言い方に帰られていますが、原語版では「Everfree Forest」と
呼ばれており、「Everfree」=ポニーたちの管理を受けず動植物が好き勝手生きている事を
視聴者は知ることができるようになっています。

このEverfree Forestに存在する植物や動物ははっきり言ってジョークに近いような
デタラメな性質を持っていたり、様々な伝説の中からかき集めてきた伝説上の怪物が居たりします。
例えば動物というカテゴリだけで言ってもマンティコアのようなまだ動物っぽい怪物がいたかと思えば、
ティンバーウルフと呼ばれる木片が折り重なって形成された狼状のティンバーウルフと呼ばれる存在が居たりします。
こうした無秩序な側面はポニーたちによって運営する管理社会はポニーの生活に適するものの、
その外はポニーたちが生きていくには過酷な「外の世界である」ということにもつながります。

つまり、ポニーたちはのんびりとした管理社会を形成しながらコロニーの中で生活し、
特別な用事がある時や冒険以外ではその外の世界に出ることはめったにない・・・という、
度を越したディストピア的でないSF的な生活を「エクエストリア」という世界で送っているのです。

・ポニービル以外の発達した都市と経済
ポニービルはかつてメインキャラクターの一人アップルジャックの祖母、グラニースミスとその両親の代に
プリンセスセレスティアの命でアップルファミリーが定住し、開墾を行った土地であることが語られています。
ポニービルには小売店も幾つかあるものの、食料品に関しては住民間による直接売買のバザー形式です。
バザーでは基本的に言ったもの勝ちの価格で取引されているという光景が描写されており、
物品の相場というものが定まっていないようなやりとりを繰り広げるポニーの姿もあります。
こうした点はポニービルにおける経済は原始的な形態であることがわかります。

一方で、首都キャンタロットや大都会メーンハッタン(マンハッタン風の都市)が登場することもあり、
特にメーンハッタンは高層ビルが立ち並び、ポニーたちの生活もとても近現代風です。
交通の主要は馬車であるものの、通りには小売店のショーウィンドウが立ち並び、
そこに住む人々の意識も現代風で、裕福な人にはオシャレや優雅な趣味が嗜まれているなど
少なくとも1900年以降のアメリカのような生活を送っていることが本編中でも描かれています。
このように、登場する都市間でものすごく文化圏が違うような描写がなされています。

-ポニービル
田舎町。主産業はスイートアップル農園で生産されるリンゴや農産物など。
ファンタジー風の簡単な家が立ち並んだ中心部には広場があり、広場では
バザーによる直接売買などがなされている。

-キャンタロット
王都だけあって華美な町並みで、王城の周辺はファンタジー風(ヨーロッパ風)。
魔法(科学技術)の探求が盛んで、大図書館や魔法学校などが多数存在している。

-クラウズデイル
ペガサスたちが暮らす雲の上の街。雪の結晶や虹などを工場で生産しており、
現代的な設備で虹が撹拌されている光景などが描かれている。
建築様式はローマ風の柱が多用されている。

-アップルーサ
アップルファミリーのいとこたちが新たに開墾している地域の街。
何故か建築様式や文化はウェスタン風であり、地元に元から住んでいたバッファローたちとの間で
土地の利用を巡った諍いが発生するなどほぼ西部劇そのものの街。

-メーンハッタン
現代アメリカのような高層ビル群が立ち並ぶ大都会。
アップルジャックが「馴染めなかった」と言っていた通り他の地域とは生活様式が異なっており、
「都会の常識」が存在したりする。

このようにそれぞれのコミューンの間で大幅に文化が異なっており、
同じ言葉を話す事ができる3種族の社会でありながらものすごくすっぱりと境界で分かれています。
いずれも支配している(統治している)のはプリンセスセレスティアですし、
ポニーたちは同じ言語で会話する地続きの世界です。
しかしながら、各コミューンで運営されている文化や生活様式は全く異なる・・・という点が
SF的な視点から見た場合に非常に面白い点であるように思います。

・3種族の対立と共存
エクエストリアには半神的存在で王族である「アリコーン」を除いた3つの種族が存在しており、
それぞれに得意な事を持ってお互いに協力し合いながら生活しています。

-ユニコーン
角を持つ種族。生まれながらに魔法の才能を持っており、一人ひとつは何かしらの魔法が使える場合が多いです。
当然魔法を利用した作業を得意としていたり、魔法を動力とする機械を動かす事ができます。
よくファンの間で言われる話なのですが、ユニコーンはもともと貴族階級の大多数を占めていたようで
キャンタロットに住んでいるポニーにはユニコーンが多かったり、選民思想に近いセリフを吐いた者も居ます。

こうした点に関しては我々大きいお友達特有の深読みではなく、トワイライトら主人公が紀元節に演じた
エクエストリアの成り立ちを追った劇中劇の中で、ユニコーンはかつて太陽と月の管理の見返りとして
アースポニーに食料の供給を求めたことやユニコーンの国家は王政であった
(ラリティ演ずる代表者がプリンセスと呼ばれている)ということが描かれています。

-ペガサス
空をとぶ翼を持った種族。先天的にほとんどの者が飛行することができ、
雲に触って動かす(壊して掻き消したり叩いて雨を降らせたり)することができます。
ペガサスは空を自由に飛び、更に天候をコントロールすることができるためアースポニーたちに対して
(太陽と月以外の)天候を操作する見返りとして農作物を栽培して自分たちにも分け与えることを要求します。

レインボーダッシュ演ずる代表者は「騎士長(パラディン)」というような呼び方をされており、
鎧を身につけた強硬な態度のキャラクターとして演じられています。このことから、軍閥による
国家運営だったのではないかと推測することができます。

-アースポニー
頑健な身体を持ち、大地にある植物を栽培する能力を持つ種族。
大地にある作物を育てることができるのは彼らだけであることから、天候操作や天体の運営の
見返りとして食料の供給を要求され、ユニコーンとペガサスに対しては不信感を覚えていた。

ピンキーパイ演ずる代表者は「大臣」と呼ばれていることやその補佐官を演ずるアップルジャックの会話から
内閣制の国家運営だったのではないか?という推測を立てることができます。


現代ではカワイイポニーたちが仲良く暮らす社会ですが、なんとなんとエクエストリアの誕生以前は
3種族がいがみ合い、ユニコーンとペガサスは天候操作の見返りとしてアースポニーに作物を育てさせ、
分前をよこせと要求したり、アースポニーはそれに対して不信感を抱いたギスギスした世界だったのです。
さてこのギスギスした世界は、やがて急激に「寒くなる」という現象により更にギスギスしていきます。
急激な寒波により作物が育たたなくなれば、ペガサスやユニコーンも食料がなくなってしまいます。
当然、3種族は皆ほぼ同時期に「温暖な新天地」を求めて旅立つ・・・のですが。
不運な事に3種族がたどり着いたのは全く同じ土地。3種族は「我々が先に居た」だの揉め始め、
ついには強硬なペガサスたちが一方的に領地を分割する線を制定してしまいます。
更にその後、その境界線上に存在する石ころを巡って「それはうちの方に多く入ってる」
「(石ころを奪い取って)我々が既に所有している」など争い始める・・・というシーンが続きます。

この演劇ではわかりやすく「石ころ」を巡って大争いしたことになっていますが、
要するに典型的な領土紛争が発生した後、境界線上の資源を巡って更に紛争が発生したってことですね。
こうして考えるとエクエストリアが成り立つ以前にはそもそもかなり長大な歴史があるように思えます
(それぞれの国家にもそれなりの歴史があるでしょうし)。

さて、そんなこんなで大争いを繰り広げていた三種族の首長たちでしたが、その瞬間に
温暖なはずの新天地にも急激な大寒波と共に冬の魔物ウェンディゴが到来し、
各種族の首長を一瞬にして氷漬けにしてしまいます。
(単純に首長が氷漬けになる絵面ですが、それぞれの「政府」が倒れたと取ることも出来ます)

残された各種族のアシスタントたちは自分たちの憎しみがウェンディゴを呼び寄せた上に
力を与えていた事に気付き、自分たちが仲良くしないことにはどこへ行こうがこのウェンディゴに
氷漬けにされてしまうという事を知ってそれぞれの種族で共存することを選びます。
3種族が手を取り合った時に発生したエネルギーがこの世界に存在する最強のエネルギーである
「エレメントオブハーモニー」であり、以後3つの種族は仲良く生活できる新国家として
エクエストリアを設置し、その首長は3種族の特徴を備えたアリコーンである、というのがこの劇の結末です。

いがみ合っていた3種族が
アストラギウス銀河を二分するギルガメスとバララントは、
もはや開戦の理由など誰も知らない戦争を100年も続けていた。その“百年戦争”の末期(ry
とならずに済んだのには偶然にも世界にウェンディゴという外敵が存在したことが
偶然にもセーフティとして働いたことによるものだったのです!というお話でもありますね。

いわゆる「SF」の畑ではここで間違いなく3種族は永久に終わらない戦争を続けてしまいそうな感じですが、
『マイリトルポニー』の世界観はそこで講和と共存に成功したパターンの世界観といった感じで
多種多様な色の文明と生活様式が共存し、3種族が入り乱れて仲良く生活している光景を見ることが出来ます。



さて長々と(やや無理矢理気味に)「実はSF的なのでは?」という方向性から
世界観の紹介を書いてきましたが、もちろん「これはハイファンタジーである」という向きもあると思います。
何よりもすごいのは「子供向けの作品だから」といってよくある世界観やよくある設定を使いまわすのではなく、
大の大人がこういうエントリを真顔で書けてしまう程度には練りこまれている原作の懐の深さと
細やかさ、そして全ての要素について整合性を取っていく姿勢だと思います。

大きなお友達が見ても面白いアニメ『マイリトルポニー~友達は魔法~』、
この際なので無料で見られる日本語吹き替え版の1話だけでもいかがでしょうか。

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コメント
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外敵が居なければ纏まることが出来なかった事実に、何か悲しみを感じる。
2015/08/13(木) 21:17 | URL | #-[ 編集]
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